content="IBM WebSphere Studio Homepage Builder Version 10.0.0.0 for Windows"> 古楽器を作ろう-プサルテリウム
Psalterium
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十数年前に作って、ほったらかしにしてあった
プサルテリウム(Psalterium)です。 6月中旬に、地元のギャラリーで、小さな展覧会があるので、それに出品するために、手直ししました。 以前は、木ペグで、ギター用のナイロン弦を張っていましたが、いかんせん、弦長が短すぎて、満足な音になりませんでした。
木ペグの穴を、ブナ材で埋木して、チェンバロ用のチュウニングピンを使うので、4,5mmの下穴を開けて、塗装しました。 弦は、チェンバロ用のアイアンの弦を張ります。 これでしたら、本来のプサルテリウム(Psalterium)として、バチでも鳴らせます。
今晩にでも、弦を張る予定です。 テンペラメントは、こないだ完成したKeyedMonochordと同じ、ピタゴラス律にします。


ヤン・ファン・エイク
(Jan Van Eyck(en),1387年 - 1441年)
初期フランドル派(en)の画家

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Psalteriumに弦を張りました。
アイアンではいい音に鳴ってくれませんでした。 結果、真鍮線を張りました。 音域;f-c’’ ダイアトニック テンペラメント;ピタゴラス
弦長 c=240mm
真鍮線のピッチ
f-g;φ=0.6mm
a-c' ; φ=0.52mm
d'-c'' ; φ=0.50mm
金属弦なので、指で弾くと一寸痛いです。 指の腹でそっと弾くと、柔らかくて甘い音がします。 一番良くなるのは、スティック(とりあえずは鉛筆で)で、ハンマー・ダルシマーのように弾くと、結構バリバリと鳴ります。
さっそく、まともなスティックを作らなくちゃ・・・・・
ギターのナイロン弦ではまったく鳴っていなかったので、とても嬉しいです。 ナイロン弦と、真鍮弦とでは質量がまるで違いますから、これで大正解だったと思います.

 

追加

ブリッジにチェンバロ同じように、ブリッジピンを打ちました。 以前は、ブリッジに浅いV溝を彫って、弦をはわせていたのですが細い金属弦を張ると、木に食い込んでしまって、音がダンプされてしまいます。このブリッジピンで、音がとても鮮明になりました。

 

低音部を一音拡張してeまでとしました。 これで、Fdurのときの上昇の終止形ができます。
(たいして意味ないかな・・・・) あとは(だんだんと言い訳がましく)dまで下げて、ドローンとしても使えます

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スティック(バチ)作りました。 飾りひもがなかったので、とりあえず靴紐をつけました。 中世の絵画などには、両手に鳥の羽を持ってつま弾いている様子も描かれています。 音の位置が判りづらいので、ドとソの位置に、赤と白の目印をつけました。 それでも、わずか20音なのに、いざ弾くとなると、うまく弾けません。 練習が必要ですね。 弾いてみたい方にお貸ししますのでお知らせ下さい。


(画像クリックで拡大)

今回の楽器の図面を掲載します。

JWW_CADのファイルです。Psaltelium.jwwを右クリックするとファイルをダウンロードできます。

今後の改良点。

*弦長が短すぎますので、せめてこの、1.5倍はほしいところです。
*響板が厚すぎました。3.5mmから4mm程度がいいでしょう

*今回、真鍮弦をかなりのテンションをかけてますので、もっと弱いテンション

で鳴るようにしたいです。テンションが高いので、古楽器らしからぬ、サステインの長い鳴りになってしまいました。ある意味では、よく鳴ってはいるのですが・・・・・・

*サウンドボードのローズを、ケルト風のデザインしてみたいです。

*さらに弱テンションで、より薄く、より軽く、ガット弦を張って、つま弾きできる楽器も魅力があります。


まさに、これです。

Chantを謳いながら、つま弾く様子です

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御注文頂いているPsalteriumの設計してます・・・・続きです
一応、図面ができました。


(画像クリックで拡大)

今回は、2台一緒に作ります。もう一台は、自分用なのですが、こちらの方はフレームをハープシコード型にしようかと・・・・弦長は同じです。この絵の、膝にのせて、スティックと指で弾いている楽器です。

そしてこれが図面です。

 

もう一つのタイプ。
イタリアン・チェンバロ型の方に使う材料は、赤松にします。この赤松は、だいぶ前に群馬のある旧家が明治初期に建てたという「離れ」を解体した時にもらってきた梁材です。
長いのが6本あります。これを一本だけチェーンソーで1.5mほどに切って、バンドソーで柾目挽きしました。ほぼイタリアン・チェンバロの工法に則っていきます。

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メムリンク型とイタリアン・チェンバロ型がそれぞれ楽器らしくなってきました。
イタリアン・チェンバロ型は同じものを2台組んでいます。
古材をバンドソーで沢山挽いたので、材がふんだんにできちゃいました。

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2タイプのPsalterium、メムリンク型(Hans Memling1480の絵がモデル)とイタリアン・チェンバロ型(これは2台)の続きです。

1.それぞれボトムの成形を終えました。2.イタリアン・チェンバロ型のベントサイドを貼る準備です。カーブがきついので自作ベンディング・ヒーターで加熱しながら曲げていきます。


このベンディング・ヒーターは20年くらい前に、ゴミ収集場所で見つけた電気ストーブのユニットを取り出して作った装置です。

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2台のPsalterium、メムリンク型(Hans Memling1480の絵がモデル)とイタリアン・チェンバロ型の続きです。
1;イタリアン・チェンバロ型の方は、響板を貼り込める状態になりました。

モールディングは、イタリアンの雰囲気を出すために、既製の超硬トリマービットを2種類の面型にグラインダーで加工してトリマーで加工。
2;響板にはめ込むロゼッタの加工です。

響板のロゼッタは、響板に直に彫り込んでいく方法と、このように単体でロゼッタを作って
カパッとはめ込む方法があります。

響板直彫りは、失敗すると響板が丸ごとオシャカになります。3;ロゼッタ、大一個、小2個で1セットです。材料はウォールナット材です。
4;そして結局、小の方はデザインを変えました。

写真の下段中央が、いわゆる五芒星(Pentagram)で、宗教的な 意味合いが強いので、これを3角形の組み合わせにしました。こちらもユダヤ教のシンボルに近いのですが・・・

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タイプのPsalterium、メムリンク型(Hans Memling1480の絵がモデル)とイタリアン・チェンバロ型(2台)の続きです。やっと響板を貼りこむ所まで来ました。響板の裏に貼るリブに若干のクラウンをつけたりと、最後の気の使いどころです。でもここで一旦中断して
イングルッシュ・スピネットの装飾スタンドに取り掛かります。


2タイプのPsalterium、メムリンク型(Hans Memling1480の絵がモデル)とイタリアン・チェンバロ型の続きです。急ぎの仕事が入っていたので中断していましたが再開です。
イタリアン・チェンバロ型は結局もう一台(結果3台)フレームを組みました。赤松の古材を沢山挽いたので材料が余っていました。3台目のボトム材、表板は杉の古材(写真2枚目)を張り込みます。リブの配置も変える予定です。



メムリンク型の方の、表板にロゼッタをはめ込みました。これで大分楽器らしくなってきました。

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2タイプのPsalterium、メムリンク型(Hans Memling1480の絵がモデル)とイタリアン・チェンバロ型の続きです。表板にリブ(ribを力木と翻訳した先人を尊敬します)を接着。リブに若干クラウンをつけます。表板を緩やかなアーチにするためです。


楽器の中に貼るラベルを作りました。年号の末尾は手書きで入れます。fecit annoだけラテン語です。ボトムにラベルを貼りました。

いよいよ楽器らしくなってきました。表板の張り込みが一台分すみました。残りも準備ができています。メムリンク型の響板の張り込みです

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2タイプのPsalterium、メムリンク型1台(Hans Memling1480の絵がモデル)とイタリアン・チェンバロ型3台の続きです。

4台の組み立てが終わりました。このあとは塗装が済んでから、チューニング・ピン、ヒッチ・ピンブリッジ・ピンを打ち込みます。そして弦を張ります。


写真1、2;イタリアン・チェンバロ型写真3;メムリンク型写真4;今回最も簡素なタイプで
裏板と響板が杉板です。チューニング・ピンはベントサイド側につきます。


Psaltrium4台分の塗装が済みました。いよいよ弦を張る準備です。それぞれのピン位置をマーキングして、チューニングピン、ヒッチピン、ブリッジピンを打っていきます。

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Psaltriumはピン打ちの続きです。4台のうち残り2台分のブリッジピンを打っているところ。
あと少しで弦が張れます。そして、Psaltriumの本体、最後の工程です。

チューニング・ピンの穴あけです。これが済んで木地の工程はすべて終わります。いよいよ弦を張り込めます。使っているのはイギリス製のラジアル・ボール盤で、30年くらい前に某ピアノ工房から譲り受けたマシンです。XYクロステーブルは自分で取り付けました。
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Psalterium4台にいよいよ弦を張ります。まずはSteel線を張ってみます。

とても緊張しています。SteelはBrassより比重が少し小さくて 7.9g/cm3です。
このチェンバロ用の弦は、堀洋琴工房の遺品です。

テープレコーダーのリールに巻いてある所が時代を感じさせます。故堀栄蔵氏は、この弦がPsalteriumに張られるなんて夢にも思っていなかった事でしょう。昨日の続きです。
Steel線はとても固くて、ヒッチピンに引っ掛ける「玉」を作るのに、指先が切れたりして血が出たりします。そこで急遽、「玉作り機」を作りました。

これを作業台にクランプで固定して使います。オール真鍮製です。これで一気に作業が進むかな・
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Psalterium 1台目の弦を張り終えました。音階はDorianの教会旋法(D E F G A B C D)で、低音部ドローンとしてはAとDの2音です。Dorian音階で作られた有名な曲は、グリーンスリーブス、スカボロフェアなどです。でもグリーンスリーブスは一般的には近代終止形に編曲されたものの方が耳馴染みがあります。音名の目印がないので、チューニング・ピンの頭にエナメルで、D;赤、A;青の色をつけました。弦を張ったばかりなのでまだ音が下がって行きますが、まあまあ鳴っていると思います。
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Psalterium
弦の張り込み最後の4台目です。

Korgのチューナーは、なかなか高音部の微細な音を拾ってくれません。このチューナーは発売当時、テンペラメントが10数種類使える事で購入しました。4台目のメルリンク型に取り掛かって、今頃気がついた事。iPadアプリの「ClearTune」を使ってみたら、圧倒的にこちらの方が感度がいいし使い易いです。ピタゴラス音律も3種類入ってました。

そして・・・・・
Psalterium4台、一応完成しました。ちょっと練習して動画にするつもりです。

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