Clavichord
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果たしてクラヴィコードは、全くの初心者に作れるでしょうか?
(http://home.mindspring.com/~judithconrad/)
上の図は、 Keyed Monochord つまりは「鍵盤付きモノコード」です。モノコードとは、単に共鳴箱に一本の弦を張って、駒の位置を移動する事で音階を得るという原初の楽器(?)です。

これに鍵盤をつけて、音階を引けるようにしたものでいわゆるGebundenes Clavichord(共有弦クラヴィコード)の元になったものです。
ネットでいろいろ探しましたが、画像で見つかったのは、この一枚だけでした。これは写真からみると、ダイヤトニックスケール(おそらくピタゴリアン・スケール)です。

(画像クリックで拡大表示)
そこで、複線(弦が2本)でクロマティックにしたものが、上の図です。

音域は1オクターブ一音です。CADで描いてみました。
これでしたら、初心者でも、女性の方でもできるかもしれませんし、構造と原理が理解できれば、クラヴィコードの自作も夢ではないと思います。

【2】いいいよクラヴィコード

(画像クリックで拡大表示)前回のmonochordをちょっと発展させて
Gebundenes Clavichord(共有弦クラヴィコードにしてみました。音域は同じです。
c-c# ,d-d# ,f-f#,g-g#, a-a#
これらが、一本の弦で2つのKeyを受け持ちます。
この構成で、長調でしたらCdur,Gdur, Ddur,Fdur,くらいまで 対応できます。


初期の鍵盤音楽は、移調が殆どないので、この楽器の構成で、4クターブあれば、ショートオクターブのGebundenes でも、けっこう曲が弾けるはずです。
ショートオクターブというのは、最低音域の1オクターブが、半音を省いて、下図のような割り振りになります。

 

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【De Clavicordio (I)】
Proceedings of the International Clavichord Symposium
Magnano 1993
Edited by Bernard Brauchli, Susan Brauchli, Alberto Galazzo
300+xvi pages
http://www.musicaanticamagnano.com/publications_de_clavicordio_details.php?l=it&nb=1
タイトルはイタリア語ですが、内容はすべて英語です。
モノコードについても、図版、写真等、詳しく解説されています。
まずは、鍵盤モノコード(Keyed Monochord)を作ろうと考えていたところだったので
まさに「渡りに船」といったところです。

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モノコードの図版と写真です。
これらは、単に実験的なものではなく、一応、演奏できる楽器と思われます。
----追加メモ-----
Monochord Memo
The range;b-e"、the only black key being b'-flat
-----------------
1. Keyboard extending beyond the case
2. Soundboard over the entire length
3. Strings parallel to the long sides running over high bridge.
4. String devision according to Pythagoras.
As medieval melodies were often accompanied by bourdon tones
this gave me the idea of adding
a bourdon course.
The basic tuning of this course is d>a; but with extra bridge it can be raised
either to e>b or f>c'.
ここで一つだけ判らない言葉がありました。
音楽用語辞典より------
bourdon 【ぶるどん】: オルガンのストップ名, ブルドン栓, バグパイプのドローン
つまり、このモノコードは、ドローン弦を持っているのですが、これの説明です。

いよいよ、クラヴィコードの前段階としてのモノコード(Keyrd monochord)の図面ができました。
楽器の大きさは、W560mmxD200mm程度です。
音律は「ピタゴラス律」です。
「ピタゴラス律」は中世からルネサンス期にかけて、グレゴリアン・チャントなどに使われたきた
音律の一つです。
そして、D あるいは Gに調律したドローン弦を持っています。
理由は、教会旋法のDドーリア音階を基準にしました。
追)
スケールは「ダイアトニック」です。
そして、B(英語名だとBb;8/14)が加わります。
ただし、平均率のBbとは、もともと意味合いがちがいます。

音名 周波数比 弦長比 弦長比率
1
1
1.000
9/8
8/9
0.889
e
5/4
4/5
0.800
f
4/3
3/4
0.750
g
3/2
2/3
0.667
a
5/3
3/5
0.600
b
14/8
8/14
0.571
h
15/8
8/15
0.533
c'
2
1/2
0.5000
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Keyed Monochordの塗装が終わり、弦を張って一応の完成です。
ドローン弦のdに乗せて、教会旋法風に簡単な音階を弾くと、ピタゴラス音律の雰囲気が味わえます。
ビヨ〜〜ン、タリラリ〜〜
音が微弱なので、チェンバロ製作のS氏は、Korgのチューナーじゃ、音を拾ってくれないかも知れない
と言っていたのですが、予想に反して、しっかりと音をとらえています。
S氏の話では、Monochordは和音では音を拾っていけないので、チェンバロなどでピタゴラスに調律し
その音に合わせて、Monochordのタンジェントを微調整していく、とのことでした。
けっこう楽器が鳴っている(自画自賛)ので、十分にチューナーで行けそうです。


音階;H c d e f g a b h c' d' e'
ドローン;D -d オクターブ

音律;ピタゴラス


最終調整しました。 タンジェントの位置は、ほぼ計算通りでしたので、案外楽でした。
これで、gebundenのクラヴィコードも、少しは自信が持てます。 さて、つぎはいよいよクラヴィコードです。 その前に、デモ用に、この楽器で演奏できる曲を、何曲かまとめておくつもりです

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今年こそクラヴィコードに着手しようと検討しています。
手持ちの図面は2種類あります。
1) Anton Ro¨mer 1774 (Graz)
Fretted travelling clavichord
compass: C/E-d3
measurements: 108 /30 /11,5 cm
walnut
写真1枚目

 

2)Johann Heinrich Silbermann, Strassburg 1775
Unfretted clavichord
Dimensions: cm 137 x 49 x 16
Original compass: FF-f3 (61 notes)

写真2枚目

Ro¨menoは共有弦、ショート・オクターブ
Silbermannの方は、クロマティックです。
どちらも魅力があります。
いっそのこと、2台一緒に作り始めることも考えています。

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先日、非常に貴重なクラヴィコードを預かってきました。
ケルン(だったかな?)で見つけたという、演奏家のA.M氏所有の17世紀のオリジナルです。数百年前の楽器なので
弦のテンションによって楽器が大きくゆがんでいますが、とてもよく鳴ります。
元々は、スタンドはなくって、8年ほど前にうちの工房で、「できるだけオリジナルと一体感がでるようなスタンドを」
と新たに作ったものです。
調整は島口ハープシコード工房で行うのですが、一日だけうちで預かって、採寸し図面化する許可を頂きました。 そしてレプリカの制作もO.Kしてくださいました。 なにしろ2千万円(所有者の弁です)するという楽器なので、預かるだけでおっかなびっくりです。 一日で図面を描いて、早々に次に渡したいです。

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続 オリジナル・クラヴィコード
さ〜ってと、いよいよ計測を始めます。蓋をはずしました。状態はかなり良好です。

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【クラヴィコード・キット】
いよいよクラヴィコード・キットの梱包を開けました。
このキットは、辻オルガンの辻さん(故人)が1989年に購入した、BostonのFrank -Hubbardの製品で巡り巡って半年ほど前にうちの工房にやってきました。まったくの手付かず状態です。

ケース材は、アメリカン・チェリー材、ボトムはポプラ材です。
図面は入っていません。覚え書き程度の英文のメモが何枚か入っています。
さ〜〜て、今年はこれをなんとか形にしたいと思っています。そして並べてみました。部品は全て
揃っているようです。仕様は以下のようです。
fretted Clavichord, 45 Keys, ショートオクターブのE − c”’
なにしろ、図面を起こさなくてはいけません。共有弦の場合、弦長計算がとても重要なので、手順が逆になりますが現物から図面を起こしてピン位置を決めていきます。
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クラヴィコード・キットの組み立て #1

いよいよクラヴィコード・キットの組み立てに入ります。
このキットは、辻オルガンの辻さん(故人)が1989年に購入した、BostonのFrank -Hubbard
の製品で巡り巡って1年ほど前にうちの工房にやってきました。まったくの手付かず状態です。
ケース材は、アメリカン・チェリー材、ボトムはポプラ材です。図面は紛失。覚え書き程度の英文のメモが何枚か入っています。そして並べてみました。部品は全て揃っているようです。仕様は以下のようです。fretted Clavichord, 45 Keys, ショートオクターブのE − c”’
このキットのボトム材が貧弱です。要交換でしょう!なにしろ、図面を起こさなくてはいけません。共有弦の場合、弦長計算がとても重要なので、手順が逆になりますが現物から図面を起こして
タンジェントの位置を決めていきます。

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ラヴィコード組み立て#2

クラヴィコードのケースとレストプランクを組みました。途中、レストクランプ側の側板を、上下間違えて接着してしまいホゾの位置が違っていることに気がついて焦りまくって板を分離。


もうちょっと遅かったら剥がれなかったでしょう・・・トホホ。
明日にはボトムを張り込みます。

続きます。











クラヴィコードのケースを組んだ後、ボトム補強用のブレースとラックを接着したところです。
クラヴィコードの組み立て・・・続きです。
balance rail(バランスレール)の接着です。

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クラヴィコードの組み立て#3

クラヴィコードの組み立て・・・続きです。
balance rail(バランスレール)を
接着して クランプを外したところ。
次は、バランスピンを打ち込んで
鍵盤を配置していきます。
いよいよ鍵盤の加工です。
バランスピンの穴の加工です。








鍵盤の表側に厚さの2/3程の長穴を開けるのに使う、自作のオーガー(auger)です。いわば、突きノミです。
これをボール盤に取り付けて、1.8mmの穴に強引に押し込みます








鍵盤を1個づつバランスピンにはめていきます。
鍵盤は整形してないままなので、キチキチできついです。
全部はめてみて、具合を見ながら鉋で削ります。

緊張が続いて結構疲れます。クラヴィコードの続きです・・・・








クラヴィコードは、装飾的に主張できるところが少ないのですが、唯一おしゃれにできるところは
鍵盤の装飾的な面取りです。
この図面は、某演奏家所有のオリジナル・クラヴィコードを採寸させていただいたときに図面化
したもので、この鍵盤カットが独特なので、これをお手本にします。
クラヴィコードの続きです・・・・





鍵盤を一本ずつ整形し、バランスピンとのハメ具合など調整し、スムーズにシーソー運動
するようにしました。
さてやっと鍵盤の装飾面取りの墨付けまで来ました。
ああ〜〜、目が疲れた。







鍵盤の装飾面取りに入りました。
ところが、この面取りは実にやりにくい。
そこで、急遽このフレキシブル・バイスを作りました。
普通の小型万力の下部をちょん切って、これをうんと昔に中古機械屋で買ってあった用途不明のヘッドが動く固定台に取り付けました。
市販のフレキシブル・バイスはとっても高いんです。これでだいぶ楽に加工できそうです。

鍵盤の装飾面取りがやっと半分ほど出来ました。恐ろしく時間がかかります。ちょっぴり後悔・・・一般的な面取りにすれば、もう仕上がってるはず。ああ〜〜、目が疲れた。



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クラヴィコードの組み立て #4


鍵盤の装飾面取りがやっと出来ました。次は、シャープキーにウォールナット材のキーを張ります。あとは、チューニングピン、ヒッチピン、ブリッジの位置決めを行うと、いよいよ楽器らしくなります。

鍵盤のナチュラル・キーの面取り加工です。とても欠けやすい木なので(黒檀も欠けやすい)丁寧に丁寧に鑿を当てます。時間がかかります。

鍵盤のシャープ・キーの化粧張りに使う薄板の加工です。ナチュラル・キーがチェリー材、シャープ・キーがウォールナット材なのですが、色合い的には似ているのでなんかアクセントが欲しいと思い、化粧張りをすることにしました。候補は、象牙、黒檀、紫檀、ローズ、タガヤサン(鉄刀木)など。結局、鉄刀木にします。木目がかなりエグいです。厚さを2mm以下にしたいので、プレーナーに通す時はこのように厚板に両面テープで張り付けてプレーナーにかけます。

鍵盤のシャープ・キーにタガヤサン(鉄刀木)で化粧張りをしました。成形して、楽器本体に並べて見ました。接着は明日にでもやる予定です。だいぶ楽器らしくなってきました。

鍵盤のナチュラル・キーのバランス調整です。
バランピンの手前の方が重いので、できるだけ軽くなるように削ります。

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クラヴィコードの組み立て #5


図面上で、ブリッジ、チューニング・ピン、ヒッチピンの位置が決まりました。共有弦の割り出しが難しいです。この後は弦長とテンション計算してみて、再度修正をしていきます。

図面上で、打弦するタンジェントの位置を割り出すのに、CADで丸一日悩んでしまいました。
c-cis,dis-e.f-fis,g-gis,ais-h等の共有する所のタンジェントの位置が、テンペラメント(音律)
によってかなり位置が異なってくるのです。場所によっては、打弦点がキーを外れることも、つまりは真鍮のタンジェントをかなり曲げてしまう事になります。
多くの共有弦クラヴィコードはミーントーンを前提に設計されているようなので、この楽器を
ベルクマイスターにするにはちょっと無理があるようです。ちなみに、平均律ではさらに
位置ずれがやはり、時代とともにこれが専有弦、つまりはクロマティック・クラヴィコードに移っていくのは必然だったのですね。

もちろん、大型になっていきますが。
ボトム周りのモールディングを付けました。夕方には気温が下がってきて接着剤の
硬貨が遅いので周囲を一度にクランプできました。ミーントーンのお勉強。この一覧表を基に、今作っているクラビコードの共有弦の再考。私の楽器の場合、低音部の最初のC-Cisを共有する場合、キルンベルガーとミーントーン(アロン)では二つのタンジェントの距離が36mmに対してミーントーンが27mmと、9mmの差が出てきます。ちょっと驚きです。
図面でタンジェントの位置を再確認してみます。これを決定すれば、やっとピン打ちに入れます。
参考資料
http://www.tg.rim.or.jp/~ejiri/hobby/onritsu.html

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さて、今日はクラヴィコード再開です。饗板の周囲にモールディングを回したところです。
このあと、鍵盤に鉛を埋め込んでキーバランスを調整し、チューニングピンの下穴を開けると
やっと絵を入れられます。鍵盤のナチュラル・キーの装飾アーケイドは、はじめは何もしない予定でしたが、急遽思い立ってこの三つ葉のクローバー型を彫る事にしました。

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クラヴィコード キーバランス

鍵盤のバランスを取ってキータッチの調整です。シャープキーのバランスピンの先の方の裏を削って軽くします。
単に削いで薄くすると強度が落ちるので「稜」が残るように両側を削ります。結構手間がかかります。鍵盤のバランス調整が済みました。シャープキーは、バランスピンの奥の裏側の方を削って軽くし、ナチュラルキーは鉛の錘を埋め込んで
調整します。鉛の錘は釣り具屋さんで売っている「ガン玉」を使いました。釣り具の「上州屋」は元日から営業してました。

そしてチューニングピンの下穴を開けました。
これで饗板の絵に移れます。
ところで絵の具で絵を描くなんて数十年ぶりです。
図柄は決まったので、とりあえず100円ショップで水彩セットを買ってきて練習します。

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クラヴィコードに絵を!

一枚目が仕上がり予定の画像なのですが、この二つの絵を入れるにあたって、「塗り絵」の
下絵をPhotosopで作りました。これを画用紙にプリントして練習します。
ああ、でも、もう今年の仕事の準備をしなくては・・・

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クラヴィコードの絵 続き!

クラヴィコードの方は、お正月休み以来、中断していましたが、やっと絵をいれる気になってきました。まずは響板周りの連続模様から描きます。レーザープリンタでトレシングペーパーに原寸図を出力しました。これを元に鉛筆で、うっすらとアウトラインを書きます

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